「伝統構法」とは、西洋建築学の影響を受ける以前の日本建築のことで、木と木を組み合わせて木の持つ粘り強さやしなやかさを活かす技術です。
その一方、「在来工法」は戦後復興期以降、西洋建物のシンプルかつ大量生産の思想を取り入れた工法で、金物で固めることによって地震力に耐える仕組みになっています。
「伝統構法」と「在来工法」の大きな違いは、木材同士の接合部に金物を使用するかどうかです。
伝統構法の場合は、大工が一本一本の木材を見て、墨を付け、鑿(のみ)や鉋(かんな)を使って手で刻み、太い柱と丸太の梁を金物を一切使わず、伝統的な継手(つぎて)・仕口(しぐち)で組みあげるため、寸分の狂いもなく施工する必要があります。
そのため、職人の知識や技術力が問われ、それらは全てあらわし(=見える)のため、施工後にごまかすことはできません。
伝統構法で使用する木材は、地元の山の木の無垢の杉や桧を使用し、太陽の恵みを頂いて年月をかけて乾燥させる天然乾燥です。
在来工法の場合は、工場であらかじめ機械によって木材を加工するプレカットが主流です。機械では日本の伝統的な継手や仕口をつくれないため、どうしても接合部に金物で補強する必要があるのです。しかしながら、金物は経年でゆるみが出てきたり、結露によってサビが発生することも。構造を隠してしまうことが多い在来工法ではそれらは見えなくなるので、何か不具合があっても気づきにくいのです。
在来工法で使用する木材は、石油の乾燥窯に入れて人工的に乾燥させ、集成材や合板を多用します。